
「大切な予定と生理が重なるのを避けたい」
「ピルで生理をずらすことはできるの?」
「ピルを使って生理をずらす方法が知りたい」
特に、月経の症状が重い方にとって、生理と大切な予定が重なるのは避けたいものです。
経血が漏れる不安を抱えたり、激しい腹痛があったりしては、せっかくの予定を楽しめないのではないかと心配でしょう。
生理と大切な予定が重なるのを避けたい方におすすめなのが、ピルによって生理をずらす方法です。
本記事では、ピルで生理をずらす具体的な方法や注意点について解説します。
ピルで生理をずらし、旅行や結婚式などの大切な予定を思い切り楽しみましょう!
月経移動とは?

月経移動とは、生理日を何日か移動させて月経の予定日を早めたり、遅らせたりすることを指します。
旅行や結婚式、スポーツの試合、受験などの大切な予定と生理が重なった場合、楽しめなかったり、本来の力を発揮できなかったりすることが考えられるでしょう。
そんな時は、ピルを正しく服用することで生理日をずらすことが可能です。
ピルで生理をずらす場合は、低用量ピルもしくは中用量ピルが使われます。
他の目的で普段から低用量ピルを服用している場合は、低用量ピルで生理をずらすことも可能です。
ピルを使って生理をずらす方法

では、実際にピルを使って生理をずらす具体的な手順を見ていきましょう。
ピルで生理を遅らせる
ピルで生理を遅らせる場合は、中用量ピルが用いられることが多いです。
ずらしたい生理予定日の3~5日前からピルの服用を開始し、そのまま生理を避けたい予定日まで服用し続けるのがポイントです。
ピルを飲んでいる間は生理がきませんが、服用をやめると2~3日程度で月経が始まるでしょう。
- ピルの服用を始めるタイミング……ずらしたい生理予定日の3~5日前
- ピルの服用をやめるタイミング……生理を避けたい予定日
たとえば、6月30日に大切な予定があり、生理を遅らせるとします。
ピルの服用を始める | 大切な予定 | ピルの服用をやめる | 生理がくる |
6/25~6/27 | 6/30 | 6/30 | 7/2~7/3 |
ピルの服用を始めるのは、生理をずらしたい日の3~5日前である6/25~6/27の間です。
そのまま予定がある6/30までピルを飲み続け、予定日に服用をやめると2~3日後の7/2~7/3辺りで生理がきます。
ピルを飲んでいる間は生理がこないため、月経周期がずれやすい方は5日前から服用を開始するのが良いでしょう。
ピルで生理を早める
ピルで生理を早める場合は、ある程度余裕を持った日数が必要となるため、遅らせる場合に比べてやや難しいといえます。
ただし、低用量ピルでも行える方法となっており、普段から低用量ピルを正しく服用している方にとっては取り入れやすい方法といえるでしょう。
ピルで生理を早める場合は、ずらしたい生理の前の月経3~7日目からピルの服用を開始し、10~14日間服用し続けるのがポイントです。
この場合も服用をやめてから2~3日後に生理が始まり、そこから5日程度月経があります。
大切な予定日の数日前に生理が終わるよう、服用する期間を正確に決めておきましょう。
- ピルの服用を始めるタイミング……ずらしたい生理の前の月経3~7日目
- ピルの服用をやめるタイミング……10~14日間服用した後
たとえば、6/30に大切な予定があり、生理を早めるとします。
前の月経開始 | ピルの服用を始める | ピルの服用をやめる | 生理がくる | 生理が終わる | 大切な予定 |
6/1 | 6/4~6/8 | 6/18 | 6/20~6/21 | 6/26前後 | 6/30 |
ピルの服用を開始するのは、前の月経開始から3~7日目にあたる6/4~6/8です。
そこから10~14日間ピルを飲み続け、6/18に服用をやめたとすると2~3日後の6/20~6/21に生理がきます。
生理が終わるのが6/26前後になるため、生理が終わった後に大切な予定を迎えられるでしょう。
ピルで生理をずらす場合の注意点・ポイント

ピルを使って生理をずらす場合には、いくつかの注意点やポイントがあります。
- 自分の月経周期をきちんと把握しておく
- ホルモンバランスが乱れないようにする
- 生理をずらせる日数には限界がある
- ピルの服用方法を正しく理解する
- 体質や生活習慣によってはピルを服用できない場合がある
それぞれの注意点・ポイントについて詳しく見ていきましょう。
自分の月経周期をきちんと把握しておく
まず大前提として、生理をずらす際は自分の月経周期を正確に把握しておく必要があります。
ピルによって生理をずらす月経移動は、月経周期をもとに生理予定日を早めたり、遅らせたりする行為です。
生理をずらすには、遅らせる場合でも生理予定日の3~5日、早める場合は2週間以上前からピルの服用を開始しなければなりません。
自分の月経周期が曖昧だと、思っていた日に生理をずらせない可能性があるため注意しましょう。
ホルモンバランスが乱れないようにする
ホルモンバランスが乱れると、生理が予定日にこない可能性があります。
生理が予定日にこないと月経移動が難しくなるため、注意しなければなりません。
ホルモンバランスが乱れやすくなる主な原因は、次のとおりです。
- 睡眠不足
- ストレス
- 過度なダイエット
上記に気をつけて規則正しい生活を心がけると、ホルモンバランスが安定し、月経周期が乱れにくくなるでしょう。
生理をずらせる日数には限界がある
生理は、いくらでもずらせるわけではなく、ずらせる日数に限界があることを知っておく必要があります。
生理を遅らせる場合と早める場合で移動できる日数の目安は、それぞれ次のとおりです。
生理を遅らせる | 生理を早める |
7~10日程度 | 2週間 |
ずらせる最大日数を超えると、服用中に生理がきてしまったり、ずらしたい日に生理がこなかったりする可能性があります。
中用量ピルを初めて使用する場合はもちろん、普段から低用量ピルを使用していて初めて月経移動を行う場合も担当の医師に相談するようにしてください。
ピルの服用方法を正しく理解する
ピルで生理をずらす方法だけでなく、ピル自体の正しい服用方法についても理解しておかなければなりません。
ピルは1日1回、同じ時間に服用することで効果が得られます。
ピルの服用を忘れてしまった場合、効果が得られなくなる可能性もあるため、正しく服用するようにしてください。
特に、旅行中にピルで生理をずらす場合は注意が必要です。
時差がある海外旅行の場合、服用する時間が異なる可能性があります。
前回から24時間ごとに服用できるよう、服用時間の管理をしっかり行いましょう。
体質や生活習慣によってはピルを服用できない場合がある
次のような病気や生活習慣がある方は、ピルを使用して生理をずらせない場合があります。
- 血栓症になったことがある方
- 高血圧の方
- 乳がんや子宮頸がんの疑いがある方
- 妊娠の可能性がある方
- 35歳以上かつ1日に15本以上タバコを吸う方
- 肥満の方
上記のような病気や生活習慣をお持ちの方は、ピルの服用ができません。
上記以外にも持病や生活習慣で不安がある方は、必ず医師に相談するようにしてください。
ピルで生理をずらす場合に起こり得る副作用

中用量ピル・低用量ピルを服用することで起こり得る主な副作用は、次のとおりです。
- 頭痛
- 腹痛
- 下痢・便秘
- 吐き気・嘔吐
- むくみ
- 肌荒れ
中用量ピルは、低用量ピルに比べて女性ホルモンの含有量が多いため、副作用が起こりやすい傾向にあります。
服用するピルの種類によって副作用は異なりますが、月経前のような症状があらわれるといえるでしょう。
また、ピルを服用することで、血栓症のリスクがわずかながら高まる可能性があります。
血栓症とは、血管内の血栓(血の塊)が血管につまる病気です。
血栓症は適切に治療すれば治るケースが多い病気ですが、ピルによって発症するリスクが高まる可能性があることを理解しておきましょう。
ピルについてよくある質問

最後に、ピルを使って生理をずらすことについて、よくある質問をまとめました。
生理をずらす目的以外で元々ピルを使っている場合はどうすればいい?
元々別の目的で低用量ピルを使っている場合でも、生理をずらすことは可能です。
ただし、現在服用しているシートを破棄したり、休薬期間が変わったりすることになるため、自己判断せず、医師に相談するようにしてください。
また、低用量ピルは、すべての実薬に同じ量のホルモンが含まれている1相性(そうせい)と、実際の月経周期に合わせてホルモン量が調整されている3相性があります。
1相性と3相性に分類される主なピルは、次のとおりです。
1相性のピル | 3相性のピル |
マーベロンファボワールルナベルフリウェルジェミーナヤーズ | トリキュラーアンジュラベルフィーユシンフェーズ |
1相性と3相性のどちらを服用しているか、ピルの種類によっても月経移動の方法が異なる場合があります。
現在服用している低用量ピルを使って生理をずらす場合は、担当の医師に相談するようにしましょう。
生理を早めるのと遅らせるのとではどちらがおすすめ?
どちらが良いかは、人によって異なります。
どちらが良いかを判断する項目は、次のとおりです。
- ずらしたい生理予定日までの日数
- 月経周期
- 月経移動の成功率
- 予定日当日のピル服用の有無
ずらしたい生理予定日まで日がない場合は、生理を遅らせるのがおすすめです。
ただし、生理予定日の3~5日前からピルの服用を開始する必要があるため、急すぎる場合は月経移動ができない可能性があります。
ピルを継続して飲む回数が少ない分、生理を遅らせる方が、月経移動に成功しやすい傾向にあります。
ただし、生理を遅らせる場合は、大切な予定の日にもピルを飲む必要があります。
大切な予定の当日にピルを飲みたくない方は、生理を早める方法が良いでしょう。
そのため、ずらしたい予定日まで日がない方・月経移動の成功確率を上げたい方は「生理を遅らせる」、予定の当日にピルを飲みたくない方は「生理を早める」方法がおすすめです。
生理不順で月経が予測できない場合はどうすればいい?
生理不順で次の月経が予測できない場合、月経移動に失敗する可能性があります。
そのため、どうしても生理を避けたい予定がある場合は、低用量ピルで生理不順を改善してから月経移動を行うのがおすすめです。
月経周期が安定すると次の月経が予測しやすくなるため、生理をずらしやすくなるでしょう。
ただし、生理不順を改善するには、少なくとも1ヵ月以上ピルを飲み続ける必要があります。
結婚式や受験など、どうしても生理を避けたい予定がある方は、生理不順の改善も視野にいれ、早めに医師に相談するようにしてください。
まとめ
本記事では、ピルで生理をずらす方法や注意点について解説しました。
ピルで生理をずらす際は、遅らせる場合と早める場合で服用開始の日数や服用期間が異なるため、正しい方法で行いましょう。
スマイルレディースクリニックは、「産婦人科総合窓口のようなクリニックになりたい」という思いのもと、患者様が笑顔になれる診療を心がけています。
大切な予定と生理予定日が重なってしまい、生理をずらしたいと考えている方は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。
ピルで生理をずらし、大切な予定を気持ちよく迎えましょう。