
「低用量ピルの使用を考えているものの、副作用が怖い……」
「ピルを飲むと病気のリスクは高まる?」
「副作用を知ったうえで、安心してピルを使用したい!」
低用量ピルは、避妊だけでなく生理痛の軽減やPMSの改善などさまざまな効果が期待できるため、服用を検討している方もいるかと思います。
しかし一方で、副作用のリスクが不安でピルの使用を躊躇している方もいるのではないでしょうか。
薬である以上、ピルにも副作用が起こる可能性はありますが、基本的に飲み続けることで症状が改善されるケースがほとんどです。
とはいえ、どのような副作用があるかを知っていれば、万が一症状が出たとしても焦らず適切な対応ができるでしょう。
本記事では、低用量ピルの副作用について徹底解説しています。
ピルの副作用について知りたい方、ピルの服用を検討している方はぜひ、本記事を参考にしてみてください。
ピルとは

ピルとは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つの女性ホルモンが配合された薬です。
中でも、配合されている女性ホルモンの量を抑えたものを「低用量ピル」と呼びます。
1日1回同じ時間に服用することで、高い避妊効果が期待できるのが大きな特徴です。
また、低用量ピルのほかにも、女性ホルモンの配合量によってピルはいくつかの種類に分類されます。
それぞれのピルの特徴は、次のとおりです。
ピルの種類 | 配合されている女性ホルモン | 卵胞ホルモンの量 | 主な効果 |
低用量ピル | 卵胞ホルモン黄体ホルモン | 0.05mg未満 | ・避妊・PMSの改善・生理痛の軽減 |
超低用量ピル | 卵胞ホルモン黄体ホルモン | 低用量ピルよりさらに少ない | ・月経困難症の治療・子宮内膜症の治療 |
中用量ピル | 卵胞ホルモン黄体ホルモン | 低用量ピルより多い | ・生理日の移動・女性ホルモンに関する病気の治療 |
アフターピル | 黄体ホルモン | – | ・妊娠の可能性がある性交後の正しい服用で約90%の避妊効果 |
ここでは、主に低用量ピルの副作用について詳しく解説していきます。
低用量ピルの副作用

低用量ピルの副作用には、主に次のようなものが挙げられます。
- 吐き気・嘔吐・倦怠感
- 下痢・便秘
- 不正出血
- むくみ・乳房の張り
- 血栓症
低用量ピルを服用する際は、副作用についてあらかじめ知っておくことが大切です。
以下でそれぞれの副作用について、詳しく解説します。
吐き気・嘔吐・倦怠感
低用量ピルを飲み始めてすぐは、吐き気や嘔吐、倦怠感といった症状が現れることがあります。
低用量ピルに含まれている卵胞ホルモンと黄体ホルモンには、脳に「妊娠した」と誤認識させる効果があります。
そのため、身体が薬に慣れるまでは妊娠初期と似たような症状が現れやすくなるでしょう。
ただし、実際に妊娠しているわけではないため、薬の作用に慣れると改善されるケースがほとんどです。
下痢・便秘
下痢や便秘など、ピルによって消化器官に影響が出る場合もあります。
症状自体は、飲み始めてから2~3ヵ月程度で徐々に治まっていくことが多く、そこまで心配する必要はありません。
しかし、下痢の頻度が高い場合、ピルの有効成分が排出され、避妊効果が弱まっている可能性があります。
そのため、下痢の頻度が高い場合や、あまりにも長く続く場合は、担当の医師に相談するのが良いでしょう。
また、避妊目的でピルを服用している場合で下痢が続いているときは、コンドームなど別の避妊方法を合わせて行うようにしてください。
不正出血
不正出血は、ピルを飲み始めたころによく見られる副作用のひとつです。
血がなかなか止まらず不安に思う方もいるかと思いますが、身体がホルモンバランスの変化に慣れていないだけなので、基本的に心配はいりません。
低用量ピルは28日間を1つの周期とし、その周期の中で実薬に含まれるホルモンの量によって「1相性(そうせい)」または「3相性」に分類されます。
分類 | 実薬に含まれるホルモン量 | 特徴 |
1相性 | 一定 | 万が一飲む順番を間違えても問題ない |
3相性 | 段階的に増えていく | 不正出血が起こりにくい |
3相性のピルは、月経周期に合わせてホルモン量が段階的に増えていくため、身体が過剰に反応せず不正出血が起こりにくいのが特徴です。
3相性のピルは、次のとおりです。
- トリキュラー
- アンジュ
- ラベルフィーユ
- シンフェーズ
不正出血が長く続く場合は、上記のピルに変更すると不正出血を抑えられる可能性があります。
ただし、出血量がかなり多い場合や、腹痛・腰痛を伴う場合は、ピルの副作用ではなく別の病気が潜んでいる可能性もあるため、病院を受診するようにしましょう。
むくみ・乳房の張り
むくみや乳房の張りといった症状も、ピルによる副作用のひとつです。
これらの症状は、ピルに含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンによって脳が妊娠状態だと誤認識することが原因のため、焦る必要はありません。
ピルをしばらく服用していると徐々に症状は治まっていくため、塩分の多い食事を控える、締め付けの少ない下着を身につけるなどして対応しましょう。
しかし、むくみは次に紹介する「血栓症」にみられる症状のひとつでもあります。
痛みが生じたり、皮膚が赤黒くなっていたりする場合は血栓症の疑いがあるため、すぐに病院を受診してください。
血栓症
ピルの副作用として注意すべきなのが、血栓症です。
血栓症とは、血管内にできた血栓(血の塊)が血管につまることで、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こします。
ピルを服用している人は、服用していない人と比べて血栓症を発症するリスクが高い傾向にあるため注意が必要です。
ピルの服用中に次のような症状がみられた場合は、使用を中止し直ちに病院を受診するようにしましょう。
- 皮膚が青紫色または赤黒くなる
- 手足がしびれる
- ふくらはぎに鋭い痛みを感じる
- 突然動悸が激しくなる
- 舌がもつれてうまく話せない
血栓症は適切に治療すれば治るケースが多い病気です。
そのため、何か違和感を覚える場合は、担当の医師に相談するのをおすすめします。
ピルの効果

ここまでピルの副作用について解説してきましたが、実はピルにはさまざまな効果があるのをご存じでしょうか。
よく知られている避妊効果以外にも、ピルには以下のような効果が期待できます。
- 生理不順の改善
- 月経量の軽減
- PMSの改善
- 生理痛の軽減
- 生理日の移動
ピルを服用すると体内のホルモンバランスが整うため、生理不順やPMSなどホルモンバランスの乱れが原因の症状を改善できるでしょう。
また、月経量や生理痛の軽減もピルによる効果のひとつです。
そもそも月経は、妊娠に備えて厚くなっていた子宮内膜が不要になることで、剥がれ落ちる現象を指します。
子宮内膜を厚くするには卵胞ホルモンや黄体ホルモンが必要です。
しかし、ピルによってすでにこれらのホルモンが体内にあるため、脳はホルモンの生成を促進せず、配合されたホルモンで子宮内膜を作る必要があります。
低用量ピルは低用量のホルモンを配合したピルのため子宮内膜は本来よりも薄くなり、月経量が少なくなるほか、剥がれるときの痛み(生理痛)も抑えられるのです。
ピルについてよくある質問

ピルについてよくある質問をまとめました。
ピルを飲むと太るのは本当?
ピルの副作用としてむくむことはありますが、ピルが原因で脂肪が増えることはありません。
むくみを解消したい場合は、以下のような点を心がけてください。
- 塩分をとりすぎない
- 適切な量の水分を摂取する
- 湯舟に浸かる
- マッサージする
- アルコールの量に気をつける
- 身体を冷やさない
これらに注意して過ごすようにすると、むくみづらくなるでしょう。
ピルを飲むと乳がんになりやすい?
日本では、現段階においてピルが乳がんリスクを高めるといったデータはありません。
そのため、ピルの服用によって乳がんリスクが高まる根拠はないといえるでしょう。
ただし、欧米ではピルの服用によって乳がんリスクが高まると報告されている論文があり、今後日本でもピルと乳がんリスクの関連性が証明される可能性があることを理解しておきましょう。
ピルの服用を検討している場合、また服用中に違和感が見られる場合は、病院を受診するようにしてください。
ピルを使用できない人はいる?
次の条件に当てはまる方は、ピルの服用ができません。
- 持病がある
- 乳がん・子宮頸がんの疑いがある
- 血栓症がある
- 肥満
- 35歳以上で1日15本以上タバコを吸う
- 肝機能や腎機能が低下している
自分がピルを服用できるかわからない方や、少しでも不安がある方は、医師に事前に相談することをおすすめします。
まとめ
本記事では、低用量ピルの副作用について解説しました。
低用量ピルの服用によって起こる可能性がある副作用は、次のとおりです。
- 吐き気・嘔吐・倦怠感
- 下痢・便秘
- 不正出血
- むくみ・乳房の張り
- 血栓症
これらの副作用は基本的にピルの飲み始めに多い症状のため、服用を続けていると徐々に改善するといえるでしょう。
しかし、血栓症のリスクなど、中には命に関わる病気を引き起こすものもあります。
そのため、ピルの服用中に少しでも違和感がみられる場合は、すぐに病院を受診することが大切です。
スマイルレディースクリニックは、「産婦人科総合窓口のようなクリニックになりたい」という思いのもと、患者様が笑顔になれる診療を心がけています。
ピル服用時の注意点なども丁寧にご説明しておりますので、避妊のお悩みや生理のお悩みなど、誰にも打ち明けられず一人で悩んでいる方は、ぜひ一度当院にご相談ください。