
「ピルにはどんな種類があるの?」
「ピルによって違いはあるの?」
「自分に合ったピルの選び方は?」
避妊や生理痛の軽減、生理不順の改善など、さまざまな目的で使われるピル。
しかし、ひとくちにピルといってもさまざまな種類があるのをご存じでしょうか。
本記事では、ピルごとの特徴や副作用、自分に合った選び方を解説します。
現在使っているピルについて詳しく知りたい方、ピルの使用を検討している方はぜひ、本記事を参考にしてください。
ピルとは?

ピルとは、女性の卵巣でつくられる「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の2つのホルモンを主成分とした薬です。
避妊のほか、月経困難症の治療や子宮内膜症の予防を目的に使用されます。
ここでは、主な効果や種類など、ピルについての基礎知識について確認していきましょう。
ピルの効果
ピルによって得られる主な効果は、次のとおりです。
- 避妊
- 生理の日程調整
- 月経量の減少
- 生理痛の軽減
- 生理不順の改善
- 子宮内膜症の予防・改善
- PMS(月経前症状)の改善
- にきび・多毛の改善
ピルの主成分は主成分である卵胞ホルモンと黄体ホルモンです。
服用すると体内のホルモンバランスが調整され、脳が「妊娠した」と勘違いすることで排卵が起きなくなるため、避妊に効果があるのです。
排卵が起きなくなると子宮内膜を厚くする必要がいらず、月経量も減少します。
ホルモンバランスが調整されることで、生理不順やPMSの改善も期待できるでしょう。
また、卵胞ホルモンと黄体ホルモンには、生理痛の原因である「プロスタグランジン」の分泌量を抑える効果もあります。
ピルはホルモンの含有量によって4種類に分けられる
ピルの主な種類は次の4つです。
- 超低用量ピル
- 低用量ピル
- 中用量ピル
- アフターピル
それぞれのピルについて以下で詳しく見ていきましょう。
超低用量ピル
超低用量ピルは、低用量ピルよりも卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が少ない薬を指します。
主に、月経困難症や子宮内膜症の治療に用いられるのが特徴です。
低用量ピル
低用量ピルは、エストロゲンの含有量が0.05mg未満のものを指します。
一般的にピルといえばこの低用量ピルを指すことが多く、1日1錠を決まった時間に服用することで高い避妊効果が得られるのが特徴です。
また、避妊以外にも、PMSや肌荒れの改善などさまざまな効果が期待できます。
なお、低用量ピルは「21錠タイプ」と「28錠タイプ」があり、偽薬(ホルモンが含まれていない薬)の有無が異なります。
薬の効果は全く同じであるため、飲み忘れが心配な人は「28錠タイプ」がおすすめです。
中用量ピル
中用量ピルは、低用量ピルよりもエストロゲンの含有量が多いピルです。
主に生理日の移動に用いられることが多く、旅行やイベントなど大事な予定と生理日予定日が重なった場合でも安心できるでしょう。
そのほか、女性ホルモンに関する病気の治療薬としても使用されています。
アフターピル
アフターピルは、黄体ホルモンを主成分とした緊急避妊薬です。
妊娠の可能性がある性交後、72時間以内に正しく服用すれば、90%前後の避妊効果があるとされています。
性交から服用までの時間が短いほど避妊効果は高くなるため、なるべく24時間以内に服用するのがおすすめです。
本記事では、ピルの中でも主に「低用量ピル」について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
低用量ピルの種類

低用量ピルは、「世代」「相性」「使用目的」によってさらに細かく名前が付けられています。
ここでは、低用量ピルの種類を決める3つの要素について、詳しく見ていきましょう。
世代
低用量ピルの卵胞ホルモンはどれも同じ種類ですが、黄体ホルモン(プロゲステロン)の種類は異なります。
このプロゲステロンの種類によって、低用量ピルは次の4つに分類されているのです。
- 第1世代
- 第2世代
- 第3世代
- 第4世代
それぞれの世代の特徴について、以下で詳しく解説します。
第1世代
第1世代は「ノルエチストロン」という黄体ホルモンを使用したピルです。
第1世代のピルには、以下が挙げられます。
- シンフェーズ
- ルナベル
- フリウェル
フリウェルはルナベルのジェネリック医薬品のピルです。
第1世代は、一番最初に製造・承認された低用量ピルで、生理痛や出血量の軽減効果が期待できます。
また、月経困難症や子宮内膜症に対する高い治療効果も期待できるでしょう。
第1世代のピルには、次のような副作用が起こる可能性があります。
- 不正出血
- 頭痛
- むくみ
- 発疹
第1世代のピルは、他の世代に比べて不正出血の発生頻度が若干高いとされているため、注意しましょう。
第2世代
第2世代は「レボノルゲストレル」という黄体ホルモンを使用したピルです。
第2世代のピルには、以下が挙げられます。
- トリキュラー
- アンジュ
- ラベルフィーユ
- ジェミーナ
第2世代のピルは、不正出血が起こりにくく、生理周期をコントロールしやすいのが特徴です。
第2世代のピルには、次のような副作用が起こる可能性があります。
- 頭痛
- 腹痛
- 嘔吐
- 息切れ
- むくみ
- じん麻疹
上記のほかにも、ごくまれに血栓症を引き起こす可能性があるため注意してください。
第3世代
第3世代は「デソゲストレル」という黄体ホルモンを使用したピルです。
第3世代のピルには、以下が挙げられます。
- マーベロン
- ファボワール
マーベロン、ファボワールともに避妊を目的とする低用量ピルです。
また、男性ホルモンの作用を抑制する効果が高いため、にきびや多毛症の改善も期待できるでしょう。
第3世代のピルには、次のような副作用が起こる可能性があります。
- 頭痛
- 視力障害
- 発疹
上記のほか、長期服用によって抑うつ症状や性欲低下が見られる可能性もあるため、注意してください。
第4世代
第4世代は「ドロスピレノン」という黄体ホルモンを使用したピルです。
第4世代のピルには、以下が挙げられます。
- ヤーズ
- ドロエチ
第4世代は、卵胞ホルモンの量が少ない「超低用量ピル」です。
生理痛やPMSの症状改善に使用され、他の世代のピルに比べてむくみにくいのが特徴といえるでしょう。
第4世代のピルには、次のような副作用が起こる可能性があります。
- 頭痛
- 不正出血
- 腹痛
4つの世代のうち、どれが優れているというのはないため、数シート試したうえで合わない場合はピルの種類を変更するようにしましょう。
相性
低用量ピルは、28日を1周期とし、1日1錠を毎日決まった時間に服用するのが特徴です。
28日のうち21日間はホルモンが含まれたピルを服用しますが、このホルモンの含まれている割合によって次の2つに分類されています。
- 1相性(実薬に含まれるホルモン量が一定)
- 3相性(実薬に含まれるホルモン量が三段階に分かれている)
低用量ピルに含まれる2つのホルモンのうち、卵胞ホルモンはどの期間も同じ量です。
しかし、黄体ホルモンの割合は期間によって違いがあり、「1相性(そうせい)」または「3相性」に分類されています。
1相性
1相性とは、黄体ホルモンの量が21日間で一定の低用量ピルです。
にきびや肌荒れに効果が期待できるとされています。
1相性の主なピルは次のとおり。
- マーベロン
- ファボワール
- ルナベル
- フリウェル
- ジェミーナ
- ヤーズ
また、どの期間も含まれているホルモン量が同じため、万が一飲む順番を間違ったとしても特に問題ありません。
3相性
3相性とは、月経周期に合わせて黄体ホルモンの量が段階的に増えるように配合された低用量ピルです。
自然の月経に近くなるようにホルモン量が調整されているため、不正出血が起こりにくい特徴があります。
3相性の主なピルは次のとおり。
- トリキュラー
- アンジュ
- ラベルフィーユ
- シンフェーズ
ただし、期間ごとにホルモン量が異なるため、飲む順番を間違えると十分な避妊効果が得られない可能性があることに注意してください。
使用目的
低用量ピルは、使用目的によって以下の2つに分類されます。
- OC(避妊)
- LEP(月経困難症の治療)
ピルを使用する目的によって保険適用の有無が異なるため、以下で確認しましょう。
OC(避妊目的)
避妊を目的とした低用量ピルは自由診療にあたります。そのため、費用は全額自己負担となります。
LEP(月経困難症・子宮内膜症の治療目的)
月経困難症や子宮内膜症と診断された場合、病気の治療のために低用量ピルの服用が必要と判断され、保険が適用されます。
つらい生理痛などの症状でお悩みの方は、クリニックに相談してみましょう。
低用量ピルの種類一覧

ここまで紹介した3つの分類方法をもとに、低用量ピルを一覧にまとめました。
ピルの名前 | 使用目的 | 世代 | 相性 | ジェネリック | 保険 |
トリキュラー | OC | 第2世代 | 3相性 | – | 自費 |
アンジュ | OC | 第2世代 | 3相性 | – | 自費 |
ラベルフィーユ | OC | 第2世代 | 3相性 | 〇 | 自費 |
マーベロン | OC | 第3世代 | 1相性 | – | 自費 |
ファボワール | OC | 第3世代 | 1相性 | 〇 | 自費 |
シンフェーズ | OC | 第1世代 | 3相性 | – | 自費 |
ルナベル | LEP | 第1世代 | 1相性 | – | 適用 |
フリウェルUCD | LEP | 第1世代 | 1相性 | 〇 | 適用 |
ジェミーナ | LEP | 第2世代 | 1相性 | – | 適用 |
ヤーズ | LEP | 第4世代 | 1相性 | – | 適用 |
これだけ多くの種類があると、「結局、低用量ピルはどれがいいの?」と迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。
ここからは、自分に合った低用量ピルの選び方を目的別に紹介します。
【目的別】低用量ピルの選び方

低用量ピルにはそれぞれ特徴があるため、目的によって使い分けることが大切です。
ここで紹介するピルを参考に、自分に合った低用量ピルを見つけてみてくださいね。
避妊
避妊が目的なら、以下の低用量ピルがおすすめです。
- トリキュラー
- マーベロン
不正出血が起こりにくいため、日常生活に支障が出にくいといえるでしょう。
生理痛の軽減
生理痛を軽減したい方は、ジェミーナがおすすめです。
血栓症のリスクが少ないほか、最大3ヵ月まで連続服用できるため、生理が3ヵ月に1度になるのは嬉しいポイントといえます。
にきびの改善
にきびを改善したいなら、以下の低用量ピルがおすすめです。
- マーベロン
- ファボワール
- ヤーズ
男性ホルモンの作用を抑制する効果が期待できるため、にきびに効果を発揮します。
PMSの改善
基本的に、どの低用量ピルを服用してもPMSの改善が期待できるでしょう。
ただし黄体ホルモンは体調の変化に影響するため、3相性ではなく1相性のピルを選ぶのがおすすめです。
生理周期のコントロール
生理周期をコントロールしたいなら、ジェミーナがおすすめです。
最大3ヵ月の連続服用が可能なため、長期間生理を止めることもできます。
まとめ
本記事では、ピルごとの特徴や副作用、自分に合った選び方を解説しました。
ピルは種類によって特徴が異なるため、どのようなピルがあるのかを理解し、自分に合うものを選ぶことが大切です。
スマイルレディースクリニックでは、以下の低用量ピルを取り扱っています。
- トリキュラー28(OC)
- マーベロン28(OC)
- ルナベル(LEP)
- ジェミーナ(LEP)
- ヤーズ(LEP)
患者様がホッと笑顔になれるような診療を心がけていますので、ピルの使用を検討されている場合はぜひ、お気軽にご相談ください。