
中絶手術はどのようなやり方で行われるのか、不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
中絶手術は妊娠周期によって異なる手術方法で行われます。
この記事では、妊娠周期ごとの中絶手術の方法や中絶手術を受ける手順について解説します。
中絶手術の種類や手術後の過ごし方などについてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
中絶手術の方法は妊娠周期によって異なる

中絶手術の方法は妊娠周期によって異なります。
- 初期中絶手術:12週未満(11週6日まで)
- 中期中絶手術:12~22週未満(21週6日まで)
妊娠周期の計算方法は複数ありますが、妊娠前の最後の月経開始日を基準に計算する方法が一般的です。
インターネット上に妊娠週数を計算できるツールが公開されているため、計算が難しい場合はそちらの活用も検討してみてください。
最後の月経開始日が曖昧な場合や分からない場合は、クリニックの検査で妊娠周期を確認可能です。
12週未満の場合は初期中絶手術、12週以降22週未満の場合は中期中絶手術になります。
また2023年4月には、日本でも「経口中絶薬」が承認されました。経口中絶薬の場合は妊娠9週(妊娠63日)までに内服する必要があります。
ここからは初期中絶手術と中期中絶手術について詳しく見ていきましょう。
初期中絶手術
初期中絶手術は妊娠週数が12週未満の場合の中絶手術方法です。
妊娠周期 | 妊娠12週未満(妊娠11週6日まで) |
手術方法 | 搔爬法または吸引法 |
入院 | なし |
死産届の提出 | 不要 |
埋葬 | 不要 |
対応できる医療機関 | 母体保護法指定医が在籍する医療機関 |
初期中絶手術の場合は入院の必要がなく、日帰りで手術を受けられます。
手術方法は大きく分けて『搔爬法』と『吸引法』の2種類あり、吸引法の方が比較的安全かつ少ない負担で手術を受けることが可能です。
妊娠週数が増えるにつれ身体にかかる負担が大きくなるため、中絶を検討している場合はなるべく早めにクリニックを受診することをおすすめします。
中期中絶手術
中期中絶手術は妊娠週数が12〜22週未満の場合の中絶手術方法です。
妊娠周期 | 妊娠12~22週未満(妊娠21週6日まで) |
手術方法 | 人工的に陣痛を起こして分娩する |
入院 | 1日~数日程度の入院が必要 |
死産届の提出 | 必要 |
埋葬 | 必要 |
対応できる医療機関 | 母体保護法指定医が在籍し、入院設備が整っている医療機関 |
中期中絶手術は人工的に陣痛を起こし、陣痛の力で出産するため、通常の出産と同等の痛みが生じます。
母体保護法指定医が在籍しており、かつ入院設備が整っている医療機関のみ対応可能なため、手術ができるクリニックが限られます。
また死産届の提出や埋葬の必要もあるため、身体的負担や経済的負担はもちろんのこと、精神的負担も大きくなりがちです。
初期中絶の手術方法は3つある

初期中絶の手術方法は3つあります。
手動真空吸引法 (MVA法) | 電動吸引法 (EVA) | 搔爬(そうは)法 | |
手術方法 | 柔らかいプラスチック管を子宮内に差し込み、吸引器で吸い出す | 筒状の器具を子宮内に差し込み、吸引器で吸い出す | スプーン状の器具や鉗子を用いて子宮内の内容物を掻き出す |
衛生面 | 使い捨てのため衛生的 | しっかり洗浄する必要あり | 洗浄が容易 |
特徴 | ・手術キットが使い捨てのため感染症のリスクが低い・WHOも推奨している手術方法 | ・術後の出血量が少ない・技術力による差が出にくく安全性が安定している | ・昔から使用される手術方法のため対応しているクリニックが多い・母体の状況を把握しやすい |
ここでは上記3つの手術方法についてそれぞれ解説します。
手動真空吸引法(MVA)
手動真空吸引法(MVA)は、WHOも推奨している手術方法です。
メリット | デメリット |
子宮内膜を傷つけるリスクが少ない手術キットが使い捨てのため感染症のリスクが低いWHOも推奨している | 妊娠週数が増えると遺残(胎盤や市卵膜の一部が子宮内に残ること)のリスクが高まるため手術ができない場合がある使い捨ての手術キットが高価なため手術費用が高額になりやすい |
子宮の中にポリプロピレン製の細く柔らかい管を差し込み、手動吸引器で子宮内の内容物を吸い出す手術方法となっています。
手動で吸引するため細かい調整が容易で、安全に手術を行えます。
さらに手術キットは使い捨て製品のため清潔な状態で手術でき、医療器具の洗浄不足が原因で感染症になるリスクはほとんどありません。
電動吸引法(EVA)
電動吸引法は、WHOによって安全性が認められている手術方法です。
メリット | デメリット |
手術にかかる時間や術後の出血量が少ないため母体への負担が少ない技術力の差が出にくく、安全性が安定している | 器具の洗浄が必要のため感染症のリスクがある国内に実績がある医師が少ない |
子宮の中に筒状の器具を差し込み、胎児や胎盤を電動吸引器で吸いだす方法です。
手動真空吸引法と比べて吸引力が高く、手術時間が短く済みます。
さらに術後の出血量が少なく、技術力の差が出にくく安全性が安定していることから、母体への負担が少ない手術方法といえるでしょう。
搔爬(そうは)法
搔爬(そうは)法は、昔から多くのクリニックで実施されてきた手術方法です。
日本では初期中絶手術の約8割がこの搔爬法で行われているとされます。
メリット | デメリット |
医師が手の感覚で母体の状況を把握しやすい対応しているクリニックが多い | 炎症や出血のリスクが高い手術時間が長い合併症のリスクが高い医師の技術力が問われる手術方法 |
術前に子宮口を開き、スプーン状の器具や鉗子で子宮内の内容物を掻き出します。
手先の感覚で手術を行うため、医師の技術力に左右されやすい手術方法です。
子宮内の状態が手の感覚で分かりやすいため、熟練の医師であれば母体の状況を把握しやすいメリットがあります。
ただし炎症や出血のリスクが高かったり、手術時間が長くなりやすかったりと、吸引法と比べるとデメリットが多いです。
クリニックで中絶手術を受ける手順

中絶手術を受ける手順はクリニックにより異なりますが、スマイルレディースクリニックの手順は以下の通りです。
- 予約をする
- 来院し超音波検査を受けて手術日を決定する
- 術前検査や書類の準備を行う
- 手術を受ける
- 術後1週間を目安に来院して術後経過を確認する
ここでは上記の手順についてそれぞれ解説します。
予約をする
電話で診療予約をしましょう。
予約当日は保険証を持参しましょう。
来院し超音波検査を受けて手術日を決定する
予約日に来院し、超音波検査を受けて正常な妊娠であることを確認します。
クリニックで行う超音波検査では、自分で計算するよりも正確な妊娠週数を確認可能です。
検査後、手術日を決定しますが、スマイルレディースクリニックでは、母体の負担が少ない妊娠6〜8週の間に手術を受けることを推奨しています。
術前検査や書類の準備を行う
血液検査などの術前検査を行います。
また重度の貧血が生じている場合は、患者様の負担を避けるため、薬や点滴などで改善してから手術を受ける必要があります。
血液検査後、手術同意書などの書類の準備を行います。
手術を受ける
スマイルレディースクリニックで行っている初期中絶手術の所要時間は15分程度ですが、点滴による無痛全身静脈麻酔を行うため、麻酔から覚めるまでの2時間ほどの間は回復室で休養していただきます。
その後、診療を行い異常がなければご帰宅となります。
術後1週間を目安に来院して術後経過を確認する
中絶手術後、1週間を目安に来院して頂き、術後経過を確認します。
術後の症状で悩んでいることがあれば、気軽にご相談ください。
中絶手術後の過ごし方

中絶手術後の過ごし方のポイントは以下の通りです。
- 無理せず安静に過ごす
- 激しい運動や飲酒は控える
- 内服薬は医師の指示通り服用する
ここでは上記3つのポイントについて解説します。
無理せず安静に過ごす
中絶手術は身体的にも精神的にも負担が大きいため、無理せず安静に過ごしましょう。
仕事や外出、家事などは無理のない程度に過ごしてください。
体調が良くない場合は、無理せず休養をとりましょう。
激しい運動や飲酒は控える
中絶手術後、発熱がなければ当日からシャワーが可能ですが、湯船にお湯を張っての入浴はしばらく避けたほうが良いでしょう。
激しい運動や飲酒も身体に負担が大きいため控えてください。
飲酒は出血が完全に止まるまで、激しい運動は3週間程度控えることが推奨されます。
詳しい制限期間は医師に相談してみましょう。
内服薬は医師の指示通り服用する
中絶手術後、内服薬が処方されますが、必ず医師の指示通り服用するようにしましょう。
出血による痛みや子宮収縮による痛みは、市販の鎮痛剤の服用でも緩和できます。
症状が長引いたり、腹痛や発熱などの症状がひどかったりする場合は、早めに医師に相談してください。
まとめ
中絶手術がどうやって行われるのか、手術方法について詳しく解説しました。
中絶手術方法は妊娠周期によって異なり、初期中絶手術と中期中絶手術の2種類に分けられます。
初期中絶手術は12週未満に受ける手術で、中期中絶手術は12~22週未満に受ける手術です。
初期中絶手術には『手動真空吸引法(MVA)』『電動吸引法(EVA)』『搔爬(そうは)法』の3つの手術方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
比較的身体への負担が少なく、WHOも推奨しているのが手動真空吸引法や電動吸引法といった方法です。
特に手動真空吸引法は手術キットが使い捨てのため感染症のリスクが低く、子宮内を傷つける心配も少ないです。
手術方法はクリニックにより異なりますが、スマイルレディースクリニックでは手動真空吸引法を導入しています。
検査・診断のうえでしっかりと準備を行い、安全性を高めた状態で手術を行っているため、中絶手術の安全性に不安がある方はぜひ一度ご相談ください。