中絶はいつまで可能?期間を過ぎてしまった時の対処法や手術方法について解説

中絶 いつまで

予期せぬ妊娠が発覚した場合、出産するか中絶手術(人工妊娠中絶)を受けるかをすぐに決断することは難しく、悩んでしまうものです。

しかし、中絶手術はいつでも受けられるわけではありません。

母体保護法という法律で中絶ができる期間が定められており、22週未満(21週6日目まで)と定められています。

この記事では、中絶手術が可能な期間や妊娠週数の計算方法について解説します。

期間を過ぎてしまった時の対処方法や妊娠中絶の手術方法についてもまとめているため、悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

中絶手術はいつまで可能?

中絶 いつまで

中絶手術は妊娠22週未満まで可能です。

ここでは中絶手術が可能な期間と妊娠週数の計算方法について解説します。

妊娠22週未満であれば可能

中絶手術は『母体保護法』という法律により、妊娠22週未満(妊娠21週6日)まで可能と定められています。

母体保護法は母性の生命健康を保護するための法律で、これを無視して中絶手術を行うと罪に問われます。

22週を過ぎてしまった場合、どのような理由があっても中絶手術を受けることはできません。

妊娠22週は妊娠6か月程度のため、中絶手術を検討している場合はなるべく早めに医師に相談しましょう。

妊娠週数の計算方法は3種類ある

中絶をする際に大切になる『妊娠週数』には次の3種類の計算方法があります。

  • 最終月経日から計算する方法
  • 基礎体温法から計算する方法
  • 超音波検査で調べる方法

ここでは上記3つの計算方法についてそれぞれ解説します。

最終月経日から計算する方法

最後に来た月経の開始日を妊娠0週0日として計算する方法で、『月経後胎齢』と呼ばれます。

月経最終日でなく、月経初日を基準に計算する必要がある点に注意しましょう。

生理時期が分かっていれば簡単に計算できるため、医療機関でもよく用いられる計算方法です。

ただしおおよその時期で計算していたり、最終月経日を勘違いしたりしていた場合、算出された妊娠週数よりも実際の妊娠週数が多く経過していたという事態に陥る恐れがあります。

特に中絶手術は受けられる期間が限られているため、クリニックを受診して正確な妊娠週数を把握することが大切です。

基礎体温法から計算する方法

排卵日前後の基礎体温を記録している場合に可能な計算方法で、『受精後胎齢』と呼ばれます。

排卵日を妊娠2週0日として計算する方法です。

基礎体温または排卵検査薬などによって排卵日が確定されている場合にのみ使用できる計算方法のため、月経後胎齢と比べるとあまり一般的ではありません。

超音波検査で調べる方法

最終月経日が分からない場合や排卵日が確定されていない場合は、超音波検査により妊娠週数を調べることが可能です。

超音波検査により胎嚢の直径や胎児のCRL(頭臀長:頭の先からお尻までの長さ)を測ることで妊娠週数を確認できます。

最終月経日から計算する方法よりも正確な妊娠週数を確認できるのが特徴です。

正確な妊娠週数を確認したい場合は、クリニックを受診して超音波検査で調べてもらいましょう。

中絶手術は時期によって手術方法が異なる

中絶 いつまで

中絶手術は時期によって手術方法が異なります。

  • 妊娠12週未満:初期中絶手術
  • 妊娠12~22週未満:中期中絶手術

上記2つの手術方法の違いを簡単にまとめると以下の通りです。

初期中絶手術中期中絶手術
手術を受けられる時期妊娠12週未満(11週6日まで)妊娠12~22週未満(21週6日まで)
手術方法搔爬法または吸引法分娩
入院の有無必要なし(日帰り)1日~数日
手術時間10分程度1日以上
痛み麻酔を使用するため痛みはほとんどなし出産と同等の痛み
死産届の提出不要必要
埋葬不要必要
対応できる医療機関母体保護法指定医が在籍する医療機関母体保護法指定医が在籍し、入院設備が整っている医療機関

ここでは『初期中絶手術』と『中期中絶手術』についてそれぞれ解説します。

初期中絶手術

初期中絶手術は妊娠12週未満(11週6日まで)に受ける中絶手術で、超音波検査によって胎嚢を確認してから手術を行います。

手術方法は搔爬法と吸引法の2種類あり、それぞれの手術の特徴は以下の通りです。

搔爬法医療器具を使って子宮の内容物を掻き出す方法対応している医院が多い手術方法衛生管理が容易手術時に子宮の状態を把握しやすい
吸引法(EVA)ストロー状の医療器具を使って子宮内容物を吸い出す方法手術や麻酔時間が短い身体への負担を抑えられる
吸引法(MVA)EVAと比べて痛みが少ない使い捨てタイプの医療器具を使用するため感染症のリスクを抑えられる

いずれの方法も基本的に日帰りで手術可能で、役所に死産届を提出したり埋葬したりする必要がありません。

妊娠12週未満(11週6日まで)までであれば初期中絶手術による手術が可能ですが、早ければ早いほど体への負担が少なくなるため、中絶手術を迷っている場合もまずは一度早めに医師に相談しましょう。

中期中絶手術

中期中絶手術は妊娠12〜22週未満(21週6日まで)に受ける中絶手術で、人工的に陣痛を起こして手術を行います。

術前処置で子宮頚管や子宮口を開いて流産処置を行うため、強い痛みを伴います。

初期中絶手術と異なり身体への負担が大きくなるため、1日〜数日程度の入院が必要です。

入院日数の目安は4〜6日間程度ですが、子宮頚管や子宮口の開き具合、陣痛の進み方によっても個人差があります。

また中期中絶手術の場合、役所に死産届を提出し、胎児の埋葬許可証を発行してもらわなくてはいけません。

初期中絶手術に対応している病院は多いですが、中期中絶手術を行える病院は限られます。

身体的・精神的負担に加え、金銭的な負担も大きくなるため、中絶を検討している場合はできるだけ早めに医師に相談することをおすすめします。

もし金銭的な面で不安がある場合は、妊娠12週以降の中期中絶で申請可能な『出産育児一時金』などの活用も検討してみてください。

中絶手術を検討する場合のクリニック受診のタイミング

中絶 いつまで

中絶手術を受けるか迷っている場合でも、なるべく早めにクリニックを受診しましょう

なぜなら中絶手術を受けられる期間は妊娠22週未満までと限られているためです。

22週を超えてしまったら、いかなる理由があっても中絶手術を受けることができません。

以下に当てはまる場合は、一度クリニックを受診して医師に相談してみてください。

  • 何週間も生理が遅れていて妊娠している可能性がある
  • 出産か中絶か迷っている
  • 相談できる相手がおらず受診を先送りにしている

妊娠の可能性がある場合はもちろん、出産すべきか中絶すべきか迷っている場合も、クリニックを受診して医師のアドバイスを受けることをおすすめします。

中絶手術を受けると決めているのであれば、なおさら早めの受診が肝心です。

中絶手術には初期中絶手術と中期中絶手術があり、妊娠12週以降に行われる中期中絶手術は身体的・精神的負担が大きくなります。

初期中絶手術でも早めに手術を受けたほうが身体への負担を抑えられるため、なるべく早い段階で手術を受けましょう。

妊娠22週を過ぎてしまった場合の対処法

中絶 いつまで

母体保護法により定められている妊娠22週を過ぎてしまった場合、出産するしか選択肢がなくなってしまいます。

金銭的な事情や家庭的な事情により出産しても赤ちゃんを育てられない場合には、特別養子縁組制度や里親制度といった制度があります。

  • 特別養子縁組制度:何らかの事情により生みの親が育てられない子どもを育ての親に託し、子どもと育ての親は家庭裁判所の審判により戸籍上も実の親子になれる制度
  • 里親制度:何らかの事情により生みの親の元で育つことが困難な子どもを預かり、一時的に家庭環境で養育を行う制度

もし中絶手術が間に合わなかったら、上記の制度の使用も検討しましょう。

妊娠中絶に関するよくある質問

中絶 いつまで

妊娠中絶に関するよくある質問をまとめました。

  • 中絶手術はいつから受けられる?
  • 中絶手術を受けるための条件はある?
  • 一度中絶すると妊娠しにくくなる?

ここでは上記3つの質問についてそれぞれ回答します。

中絶手術はいつから受けられる?

中絶手術は妊娠5週から受けることが可能です。

妊娠検査が可能になるのは生理開始予定日の1週間後の妊娠5週目となるため、妊娠が発覚したら中絶手術も可能になります。

望まない妊娠などで中絶を検討する場合は、早めに医院を受診しましょう。

中絶手術を受けるための条件はある?

中絶手術を受けるための条件は以下の通りです。

  • 妊娠反応が出ている
  • 胎嚢を確認し子宮外妊娠などの異常がない

上記の条件を満たし、必要書類を用意することで手術可能です。

胎嚢や子宮頚管の状態によっては、妊娠5〜6週よりも妊娠6〜9週の手術の方が望ましいケースもあります。

手術の適切なタイミングは患者様一人ひとりの状況によって異なるため、まずは中絶の時期に悩んでいる方は医師に相談してみましょう。

一度中絶すると妊娠しにくくなる?

一度中絶をすると妊娠しにくくなってしまうのではないかと不安に思う方もいるかもしれませんが、手術による大きな合併症が起こらなければ、妊娠への影響はほとんどありません。

中絶手術後に妊娠・出産される方も多くいるため、過度に不安に思う必要はないでしょう。

もし今後妊娠を望まない場合は、中絶手術と同時に子宮内避妊器具を挿入することも可能です。

妊娠について不安なことがある場合は、医師に相談してみてください。

まとめ

中絶手術は妊娠22週未満(妊娠21週6日)まで可能で、その期間を過ぎてしまうと中絶手術が受けられなくなります。

妊娠12週未満は初期中絶手術、妊娠12〜22週未満は中期中絶手術による手術が行われ、それぞれ経済的・身体的・精神的負担が異なります。

中絶手術は早い方が負担を抑えられるため、中絶を検討しているのであればなるべく早めにクリニックを受診しましょう。

スマイルレディースクリニックでは、中絶相談を受け付けています。

中絶について悩んでいる方は、ひとりで抱え込まずにできるだけ早い段階でご相談ください。